映画『海賊とよばれた男』☆感想

老若男女の心に熱を届ける男。。。

V6・岡田准一くん主演映画『海賊とよばれた男』。
2016年12月10日の全国公開を控え、11/14に完成披露試写会が行われた。

東京国際フォーラムホールAは、5000人収容の日本最大級のホール。
これ位大規模な会場でないと、准ちゃんの完成披露試写会には行けない。

この映画の撮影時期は、V6の25周年ライブ真っ最中の2015年秋から冬にかけて。夏の終わりにライブツアーが始まった頃には、この原作が映画の次回作であると言う噂はあった。准ちゃんの映画には、出演告知をしてから撮影に入る場合と、撮影が終わってから出演告知をする場合がある。この映画は後者で、色々と事情は考えられるが、准ちゃんのライブでの変キャラ展開でバレバレではあったが、映画出演が告知されたのは、映像公開と共に随分後からだった。

丸メガネをかけ貫録のある体格で、昭和の薫りがプンプンするような映像に、担当外にとっては堂上教官ほどには萌えないなという感じだった。その頃はまだ、若い頃の映像のみだったが、劇場公開が近くなるにつれて、実は映画の大半が壮年期になってからの役柄であることを明かしている。原作は読まない主義なので、物語の優劣は分からないが、永遠の0の時と違い、その後のお騒がせな著者の影響で、映画に対してちょっと身構えてしまう、あまり期待しない自分があった。

そして一番の懸念は、准ちゃんは“声が若い”と言うことだった。NHK大河ドラマでどうしても若い印象が拭えなかった、晩年の如水。半分以上が60代を演じるこの映画で、それをどう克服したのだろうかと。

舞台挨拶登壇キャストの和気藹々とした雰囲気を感じた後での映画鑑賞であった為か、映画はすこぶる好印象を持った。

時代背景に戦争のこと、敗戦のこと、戦後の復興のこと、若い人たちには教科書でしか知り得ないことがあるので、多少分かりにくいところもあるだろうが、そういう時代の中で強く生き抜く1人の男(店主)と、彼を敬愛する店員たちの生き様は、観ている者の心をも熱くさせる不思議な力がある。戦争で血を流す場面もほぼなく、女性でも安心して見られる。むさ苦しい男の映画かと思いきや、そこは随分とソフトで爽やかな印象が残るように作ってある。

原作は、若い頃から90代までの男の人生を時系列で綴っていると聞く。映画は、90年を約2時間半に濃縮する為に、多少時系列を崩して、回想シーンとして表現しているところもある。なので、いきなり、これはいつ?ここはどこ?と戸惑うかも知れないが、やがてその辺りに付いて行ければ大丈夫。あとは、2時間半などあっという間だった。

観る者の心を熱くするのは、強い者からの圧力に屈しない強い精神、外国からの圧力に対抗する日本人の心意気、日本の復興という今である未来を導いてくれた男達の物語、それらがきっと、心地良いのではないかと思う。全くの絵空事ではなく、モデルとなる人物や会社、史実があっての物語なので、これだけの時代を経ていても尚、近くに息づいているような気がした。

映画の公式サイトに「海賊とよばれた男」の時代背景、というコラムがある。それを読むと、多少映画の時代背景が理解出来て、次々に展開する事件が納得出来るのだが、読んでいくと最後にいいところをネタバレしてしまうので、ハラハラドキドキして観たいと思う人は、読まないのもアリかと思う。

舞台挨拶の登壇者は、強者揃い。

共演者は堤さん、吉岡さん、染谷くん、綾瀬さん、小林さんなど、誰もが主役級の俳優だ。その誰もが店主を慕い、店主を信じて生きるように、山崎監督の号令の元、岡田准一の周りに集結する。これだけ贅沢な面子なのに、煌びやかに光り輝く訳ではなく、苦難な時代に熱く燻りながら生きている。その中での紅一点の綾瀬さんの静けさが、また可愛い。

永遠の0チームが集結して、今回もVFX映像がてんこ盛り。

VFXの映像がスゴ過ぎて、全然気にならないと舞台挨拶で言っていた人がいましたが、それはまぁ、ひとそれぞれかなぁと。船舶や航空機など細かくて凄いところもある。私には背景映像の不自然さが気になることがあったけど、だからと言ってそれが映画を損ねることには全然ならず、それはそれ、演技は演技として、映画はすごく良かったと思えた。銀座に店を構える「國岡商店」、近くに歌舞伎座が映るんだが、そんなに近くにあったのかいな。

「ヒメアノ~ル」が最後に清々しい感じを持って帰れるのと同じで、ラストシーンにはこだわりがあったのか、とっても爽やかな感じで終焉を迎えるので、特にハンカチ必須でもないけれど、何となく鼻をすすりたくなる場面も織り込みつつ、きっと誰もが“いい映画だったね”と言い合える時間になるのではないかと思う。

最後に、俳優・岡田准一くんは、“憎たらしい爺さん”なんだけど、どこか可愛い♪
期待を裏切らないチャーミングさがそこらに零れ落ちていて、そこがまた愛おしい。

“声”の演技を模索していたことも、インタビューで語っている。
如水の時よりは確実に、声の演技に磨きをかけたアカデミー俳優がそこに居る。

白髪で皺くちゃの顔に鋭い眼光があるだけで、そこに岡田准一の演技がある。

山崎監督が“岡田くんなら出来る!”と信じた、特殊メイクを駆使した男の一代記。
今壮年期の俳優が演じるより話題性もあり、客層に若者も取り込めて一石二鳥。

私はいい映画だと思いました。
“海賊”って言うとゴツイ印象ですけど、意外と爽やかな映画です。

12月10日の全国公開が待たれます。
皆さま、ぜひ劇場の大きなスクリーンでご鑑賞あれ。