普通を表現する演技力。。。

屈強よりも軟弱を演じるチカラ。。。

あの頃、猫は、自由という危険の中にいた。。。

どこにでもある、二階建ての木造のアパート。
テレビはアナログ時代で、ブラウン管テレビ。
まだ携帯電話の無い時代、子機付属の電話機。
漫画はケント紙に下書きをし、ペンを入れる。

あの頃、自由な猫は、
好きな時に家にいて、好きな時に外へ出かけていた。

映画「猫なんかよんでもこない。」
猫好きな友達の付き合いで、3回目の鑑賞。

猫に癒される映画、と言っては勿体ない、人間ドラマ。
一人の男の挫折と再起、命に寄り添う意味を問う物語。

ジミメンと自ら名乗り、感情の振り幅が広い役をこなす演技者。
演技派故に奇異な役柄が多かった風間俊介が、初めて挑む普通。

等身大の情けない優男を演じる風間くんが、少し羨ましかった。
逆境に屈しない、過酷な試練に果敢に挑む、それも男の生き方。
でも、本当のひとって、もっと格好悪いものなんじゃないかな。

夢の世界に連れて行ってくれるのが、エンターテインメント。
日常を一時でも忘れるために、金と時間をかけて表現を買う。
夢の時間はやがて終わり日常に戻る時、現実との落差に憂う。

孤高の人となり、近年はあまり普通を演じなくなった我が映像担当。
強靭な肉体を駆使し、挑戦する事に生きる演技者は何を目指すのか。

もっと、普通が見たい、もっと弱みで魅せて欲しい。
隙の無い俳優人生の中で、唯一思うのがそのことだ。

ビジュアル的には「おと・な・り」が好き。
でも、彼の映画を欠かさず観るようになったのは「陰日向に咲く」からだ。

弱い役、だった。情けない役、だった。
等身大以下だったかも知れないが、人間らしかった。

超大作に恵まれ過ぎて、飛び抜けた表現力を持つあまりに、
日常を生きる人が共感出来る作品から、遠ざかりつつある。

彼の“普通”が垣間見られるのは、仲間といるとき。
それを知ることが出来るのは、ほんの一握りの人達。

何処へ行ってしまうのか、何を目指しているのか、
応援する人たちを、時々不安にさせることもある。

金や時間や保険をかけなくても、心に響くいい映画は撮れる。
自由な猫と一緒に暮らして、命に寄り添いながら撮った映画。

飾りの挿入音楽も最小限で、生活音が絵を飾る等身大の映画。
すぐ隣にいて、愛しさも寂しさも悔しさも哀しさも共にする。

慰めも励ましもしないけど、いつもそばにいる。
それがきっと、一番心地良いのかもしれないね。

猫よん。ぜひご覧あれ。。。